雷に打たれたように
私は「本当にその通りです。申し訳ございません」と頭を下げ、謝罪しました。すると怒りの矛先が息子に向かい、「お前も謝れや!」と怒鳴りました。息子が小さな声で「ごめんなさい……」と言うと、「もっとちゃんと謝れや!」とまた怒鳴りました。
私が息子を抱き寄せ、一緒に頭を下げ「ごめんなさい」と言うと、「もっとちゃんと謝れ」「謝り方も教えてないのか」「躾がなってない」とまた怒鳴りました。もはやそれは人でありながら人ではなく、怒りの感情に隅々まで支配された物体のように見えました。
息子を守るようにしっかり抱きしめ、このやりとりはどうすれば終わりになるのか困惑していると、遅れてやってきた旦那が、「謝ってるじゃないですか」と、冷静な声で言いました。
男性は驚き、黙り、くるりと向きを変え歩きだしました。アイスクリームコーナーの角を曲がるとき、再び大きな声で「躾がなってへんなぁ~!」と叫んでから姿が見えなくなりました。私たち3人は雷に打たれたように、しばらくそこに立ち尽くしていました。