なぜ更年期に睡眠障害が起こりやすくなるのか

そもそもなぜ更年期に睡眠障害が起こりやすくなるのでしょうか? その原因として主に以下の3つが考えられています。

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(1)エストロゲン減少による影響

更年期の主な変化のひとつとして挙げられるのが、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少です。エストロゲンは自律神経や睡眠ホルモン(メラトニンなど)にも影響を与えていると考えられています。減少により体温調整のバランスが崩れることで、ほてりや発汗、動悸などが起きやすくなり睡眠を妨げる大きな要因のひとつとなります。

(2)自律神経の乱れ

女性ホルモンの変動によって、自律神経が乱れやすくなります。自律神経は、活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」を切り替えているため、どちらかの働きが過剰または低下すると、体や心のリズムが整いにくくなります。特に更年期世代は仕事、介護、老後への不安などのストレスも重なり自律神経の乱れが悪化するケースが多いのです。

(3)睡眠ホルモンへの影響

夜間に分泌されるメラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、質の良い眠りを促す重要な役割を担います。ところが更年期世代は、ホルモンバランスや生活リズムの乱れなどからメラトニンの分泌も不安定になりやすいと考えられます。特に春先は気温や日照時間の変化が大きく、身体が順応しようとして自律神経やホルモンのバランスが崩れやすいため影響が強まることがあります。

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実は、短い睡眠や慢性的な睡眠不足は、高血圧、糖尿病、心疾患といった生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、免疫力低下にもつながります。さらには寝不足が続くと食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れ、肥満のリスクも増えるとの指摘も。

よって「質の良い睡眠の確保は健康全般に大きく影響する大切な課題」と言えます。