その多くが働くだけ働かされて「無縁墓」に

蔦屋重三郎が数え年で26歳だった安永4年(1775年)版の「吉原細見」によれば、当時の吉原には2000人ほどの遊女がいたと記されています。

一方、浄閑寺の過去帳だと、死者は1年平均で15、6人ほど。

労働環境が劣悪で、23歳まで生きられないとすると…この数字は少なすぎるでしょう。

となると、葬儀をあげることなく、過去帳にも記載もされず、浄閑寺の然るべき土地に埋葬された遊女が多くいた、という事態が想像できます。

中世前期ならば埋めずに放置、という事態もあり得ましたが、江戸時代になると、埋めなければ衛生上よろしくない、という感覚はあったはずですから。実際、臭気と見た目が耐えがたくなったでしょうし。

上級遊女であれば、病死したら浄閑寺の墓地に正式に葬られた。でも、中・下級の遊女は人知れず埋葬だけされた。

幼くして売られるなどして父母と引き離され、働くだけ働かされて無縁墓。あまりに、あまりに気の毒です。

ドラマの中で吉原の華やかさに接するとき、そうした事実も踏まえておくと、その見方が変わってくるのかもしれません。

大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜

【放送予定】2025年1月~

【作】森下佳子

【主演】横浜流星(蔦屋重三郎 役)

【制作統括】藤並英樹 【プロデューサー】石村将太、松田恭典 【演出】大原 拓、深川貴志

【放送予定】[総合]日曜 午後8時00分 / 再放送 翌週土曜 午後1時05分[BS・BSP4K]日曜 午後6時00分 [BSP4K]日曜 午後0時15分