要介護生活と、人生の後始末を考える

2024年の4月に始まった「医師の働き方改革」の影響で、アルバイトやパートの医師が補充できなくなったため、近隣の病院の循環器内科が軒並み診療を中止。

和明さんの主治医のいる病院に患者が殺到し、とうとう新規の入院を受け付けられなくなったという。

「驚いたね。世の中とは無関係に生きたかったけど、そうはいかないことを思い知らされたよ。遅ればせながらこれからの要介護生活と、人生の後始末をまじめに考えようと思った」

なんとかなるさで暮らしてきた和明さんだったが、やっと重い腰を上げて行く末を考える気になったようだ。

友人たちも年をとり、あちこち不調で頼りにならない。親戚付き合いも避けてきたし、後を託す親族もいない。

「確か、亡くなった姉の息子がいたはず。初めて連絡を取ってみようかと思ったけど、ほとんど初対面の甥に何かを頼むのも違うかなと思うしね」

まずは、入院できる病院探しから始めて、一人暮らしが難しくなったときのための施設探し、自宅マンションの売却、残った財産の遺贈先探し、死後の後始末を誰に託すか……。やることは山積みだ。

入院や介護になった時に、不便をかこつことに(写真提供:Photo AC)