入院の保証人、誰に頼む?(写真提供:Photo AC)

これからは〈自分介護〉の時代へ。2040年には、単独世帯が900万世帯に達するという予測があります。特に、65歳以上の単独世帯数の増加が推測されています。日本の家族構造は大きく変容して、これまで頼りにしていた家族相互助け合いシステムが崩壊しています。高齢者を包括的に支援/実践している団体「リボーンプロジェクト」が、介護の事例と、専門家のアドバイスを編集した『じょうずに頼る介護 54のリアルと21のアドバイス』より一部を抜粋して紹介します。

家族、親族のいない人の入院保証人は誰?

シングルの保証人:入院の保証人問題で「ん?」2度目の発作で「んん?」

「あっこは俺の姻族だっけ?」齢70を過ぎた立派な大人がなんて無知なのかしら、と明子さん(73歳)は思った。

「何言ってるの?姻族なわけないでしょ。私はあなたの先輩で、ミキの友人で大学の同窓生。赤の他人でしょ」

和明さん(72歳)が倒れて緊急入院した際、連絡先として明子さんの名前を書いたところ、看護師さんから確認されたのだという。

「ご家族ですか?」「いいえ」「ご親族ですか?」「いいえ」「じゃあ、姻族の方なんですね?」「そうかな」というやりとりがあったのだそうだ。和明さんは、姻族とは婚姻を結んだ相手の3親等以内の親族のことというのを知らなかったらしい。

姻族だって親族だから、看護師さんの質問も変なのだが……。明子さんは、誤解されたままでもいいやと思った。

というのも昔、友人から、同棲していた彼が入院するとき、保証人の欄に友人と書いたら「ご夫婦じゃないんですか?」としつこく聞かれ、事実婚にしたかったのに仕方なく婚姻届を出したという話を聞いたことがあるからだ。

いまだに入院の際は「家族保証」「戸籍主義」が幅を利かせていることに明子さんは驚いた。

和明さんの病気は「心不全」だった。妻のミキさんを亡くしてから5年、男一人の生活は不摂生そのもの。寝たいときに寝て、起きたいときに起きる。

食事もコンビニ弁当で済ませたり、ビールに少々のつまみでおしまいにしたり。不健康になるのも無理はないが、心不全とは驚いた。

即入院。投薬治療の後は、循環器リハビリで生活改善の日々を送ることになったのだ。