ちょっと助けてほしいだけなのに、とても煩雑な手続き
その頃は、さすがにトイレに這っていくことまではなくなっていたものの、日常の家事がままならなかった純子さん。
スーパーマーケットではレジ待ちで立っていることがつらく、重い荷物も持てない。杖をついているので、ゴミ出しもできない。
夫が入院前に注文した米が宅配便で届き、玄関前に置かれたが、一人で中に取り込むこともできなかった。
ちょうど65歳になったばかりだったので、買い物やゴミ出しをヘルパーさんに頼めないかなあ、と考え、自治体の地域包括支援センターに問い合わせてみた。
「たった一人で、毎食、どうしようと途方に暮れました。冷静に考えれば、食事はフードデリバリー、買い物はネットスーパーだっていいはずなんです。でも、夫の入院で気が動転していたのでしょうね」
ところが、まずは1週間後に、自治体の相談員が自宅に来て状況の聞き取りをするという。
ヘルパー派遣はおよそ1カ月後と言うので、いったんはあきらめたものの、介護に詳しい知人に相談すると、「緊急性があればもっと早く来てもらえるかもしれないから事情を詳しく伝えたほうがいいわよ」とアドバイスされた。
「整形外科系の病気なら介護申請が早く通るかもしれない」とも……。
そうして、地域包括支援センターに電話すること3度。自分の病状、夫の入院を詳しく伝えたところ、ようやく緊急性があると判断されたのか、相談員が翌々日に来ることになった。