「いま大変」なことに即応するようにはできていない

専門家のアドバイス:早めの介護申請とお試し介護で、「上手に他人に頼ること」に慣れておく

病気やケガで動けなくなったら、誰に助けてもらうのか──。

まず頭に浮かぶのが、介護保険制度による公的な介護サービスだろう。でも、毎月介護保険料を払っているからといって、「誰でも、すぐに」公的な介護サービスが受けられるわけではない。

自治体に申請し、認定された人のみが利用できる仕組みになっている。

公的な介護保険サービスを申請できるのは、65歳以上の人、もしくは40~64歳で、脳梗塞や脳出血、認知症、膝や股関節の変形性関節症、関節リウマチ、がん末期など16の特定疾病の人だ。

かつ、申請からサービスを受けるまで、通常では1カ月以上かかり、制度自体、たったいま大変なことに即応するようにはできていない。

緊急性があると判断されると、純子さんのように早くサービスを受けられることもあるが、あくまで行政の判断次第。急に動けなくなったとしても、すぐの対応は難しいと思ったほうがよさそうだ。

一方、病気やケガ、筋力低下などで徐々に弱ってきた場合、または療養が長期にわたりそうで定期的に介護や家事を依頼したい場合は、介護保険制度による介護サービスの利用を積極的に考えよう。

すぐにサービスを利用するかどうかわからなくても、備えとして介護認定だけでも受けていれば、必要なときに即サービスの利用開始ができるので、切羽詰まる前に、まずは気軽に申請してみてほしい。

 

※本稿は『じょうずに頼る介護 54のリアルと21のアドバイス』(太田出版)の一部を再編集したものです。


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