大阪でひとり暮らしをしながら働いていた時代、仲のいい同僚たちと遊びに行った
ときの写真。左から2人目が私。ワンピースはたぶん自分で作ったものです。(写真提供『90年、無理をしない生き方』すばる舎/撮影:林ひろし)

こうした経験から、「お金がないのはきつい、余裕がないとダメだな」と思うようになりました。そして、楽しむためにはお金が必要だとわかり、しっかりお金をためるようになりました。

高校を卒業後、実家から独立して、大阪にある叔父の会社で働いてひとり暮らしをしました。少ないお給料をやりくりして、家賃、食費などを払いながらしっかり貯金をしていました。

貯金自体が目的ではなく、使いたいときに迷いなく使えるように、お金をためていたのです。

だから、社内で「コンサートに行きたい人は?」とか「スキーに行くけど、一緒に行かない?」など遊びのお誘いがあったときは、真っ先に手をあげて参加していました。そのための貯金でもあったのです。

ためたお金でミシンを買い、洋服や旅行用のかばんを作ったり、早朝に映画を見に行ったり楽しんでいました。

念願のひとり暮らしだったから、がんばって働きました。自分の稼いだお金でやりくりする生活は、とても充実していました。

お金がなかったことで、親を恨んだことはありません。「じゃあ、どうすれば自分のやりたいことができるのかな」と頭を切り替えていきました。

今の状況を受け入れて、自分で決めたことをやってきたなと思います。大きな夢はないけれど、歩きやすいように石ころをよけて、自分で歩いてきました。