食事やセックスの“快楽中枢”がウソをつかせる

側坐核というのは、脳におけるいわゆる“快楽中枢”である。オールズとミルナーの実験が有名だと思うが、ラットの脳に電極を刺し、レバーを押すことで電気刺激が入るようにしておくと、ラットは飲食を忘れてレバーを押し続けた。この実験におけるラットの行動から、こうした俗称がついたようである。

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この領域は、食事やセックスといった、人間にとって報酬となり得る多くの行為に関連している。依存症の病態にも関与している。定期的にスクープされる、派手な性行動が記事にされてしまうタイプの人の中には、適切な投薬や心理社会的治療が必要な人もいると考えられるが、側坐核における活動が一般的な人々とは違うという可能性も推測される。興味深い研究では、ある種のドラッグによって引き起こされる快感と、音楽の快感とがほとんど同じだと指摘するものもある。

ところで、側坐核の活動が高くても、ウソをつかなかった場合には、またさらに特徴的な脳の活動パターンが見られ、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)の活動が高くなったという。この領域は、理性的な判断、また行動の抑制に重要な領域であると考えられている。

わかりやすく噛み砕いて言えば、ウソつきは、ウソをつく快感を覚えてしまっていて、いつもブレーキを利かせていないと正直な言動ができない、ということになるだろうか。もっと言えば、頑張って努力して抑えていないとすぐウソをついてしまう脳である、と言ってもよいかもしれない。