常に劣等感を抱いている…

誰かがほかの人の服装を「あら、かわいいわね」とほめる。ほかの人の仕事を、「手際がいいねえ。すごいねえ」などとほめる。

すると、このタイプの人は「私の服装がみっともないと言いたいわけ?」「俺の手際が悪いと言いたいのか?」と食ってかかる。

もちろん、そのような場合もあるだろう。その人を遠回しに批判したくて別の人をほめる場合もないとはいえない。

だが、むしろそのようなことはまれなはずだ。話し手がかなり皮肉な人間でないとそのようなことにはならない。

ところが、このタイプの人は、人間のみんなが自分を批判するつもりでいると思い込んでいる。劣等感がよほど強いのだろう。劣等感は自意識過剰の裏返しでもある。

常に劣等感を抱いているから、他人の言葉が自分を攻撃しているように思える。しかも、自分が攻撃的だから、ほかの人も攻撃的だと思い込んでいる。

 

頭のいい人が人前でやらないこと』(著:樋口裕一/青春出版社)