画面の自分に、「よう喋りよってねぇ」とツッコミながら、楽しそうに鑑賞したという哲代さん/(c)「104歳、哲代さんのひとり暮らし」製作委員会

「与えられた命いうものは、自分でも大事にせないけんし、いろいろな力で大事にしてもらえているような気がしますね」

そんな哲代さんの言葉や姿勢に、われわれ下の世代は大いに励まされています。老いてできなくなることが増えても、いつもご機嫌な哲代さん。その姿が人生の手本として周りの人を支えているのです。哲代さんがいることで、周囲が活気あふれる場所になっています。

世代や関係性を超えて、お互いにちょうどいい距離で楽しく支え合うことができたなら、長生きは、思うほど恐れることではないのかもしれません。哲代さんが見せてくれる笑顔や歌声に、誰よりも私が、励まされたような気がします。

映画が完成した時、哲代さんは入院していたので、私はパソコンを持って病院に伺いました。94分という長さの作品を、ベッドの上で観るのは大変だろう、と心配しましたが、一気に鑑賞。

笑うシーンは一緒に笑い、歌うシーンは一緒に歌って。画面の自分に、「よう喋りよってねぇ」とツッコミながら、楽しそうに観てくださって安心しました。

映画の舞台挨拶に伺うと、みなさん劇場を後にする足取りが心なしか軽くなっています。哲代さんのパワーを感じていただけたら幸いです。

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4月18日(金)よりシネスイッチ銀座ほか、全国50館以上で順次公開予定です。詳しい情報はこちらから→https://rcc.jp/104-hitori/