(写真提供:Photo AC)
「精神科医になり、あまりに多くの人が、手が抜けないために、心の病に陥ってしまう現実を目の当たりにした」と話すのは、高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生。そこで今回は、和田先生の著書『60歳からの「手抜き」の極意』から一部を抜粋・再編集し、<第二の人生を存分に楽しむための新提案>をお届けします。

「あれしろ」「これしろ」は悪いプレッシャー

食事は、なるべく多くの食材を食べるようにした方がいいですが、「1日に何種類のものを食べなさい」と言われると、それがプレッシャーになってしまいます。

真面目な人は、きっと朝から食材の数を数えて、今日はクリアまであと何種類だと考えてしまうでしょう。そのように、何かによって自分を縛ってしまうとストレスになりかねません。だから、いろいろな人の「こうした方がいい」という話は参考程度に聞き流して、楽に、手を抜いて生きていいんだよと言いたいのです。

何をしていいかわからないから、誰かの言葉に従ってみようという考え方もあるかもしれません。手抜きでふんわり参考にするくらいならいいのですが、それを守ろうと思っているうちに、プレッシャーが積み重なってしまいます。

そもそも決めたとおりにできることなど、そう多くはないと思うのです。こうしようと思ってそのとおりにいかないことはままあるでしょう。その時に不安になったり、嫌な気分になったりして、それが積み重なるとうつ状態になってしまったりするのです。

こうしようと決めたことがあっても、自分の意志だけではどうにもならないことが多々あります。それなのに決めたことを守ろうとすれば、自分を責めたりしてしまいます。わざわざそんな生き方をしなくていいのではないでしょうか。