意味がないどころか、有害なケースも
(2)「元気出して!」は逆効果
また、不安や恐怖を感じている人に、「元気出して!」など、無理にポジティブに考えるようにさせることも逆効果です。
ミシガン州立大学のジェイソン・モーザーらの研究では、「ネガティブな人に前向きなことを言うと逆効果になる」という結果が出ています。
この実験では、まず、ネガティブ思考かポジティブ思考かを自己申告してもらい、ショッキングな映像を見せ、できるだけポジティブに解釈するように指示しました。
その時の被験者の脳の血流を調べたのです。映像を見た時、ポジティブ思考の人たちの脳の血流は大きな変化はありませんでしたが、ネガティブ思考の人の脳の血流は非常に早くなりました。
血流が速くなるほど脳はパニック状態になっているということです。この状態で、「もっと前向きに考えて」と指示をしたところ、血流はゆるやかになるどころか加速してしまいました。
自尊心の低い人が、ポジティブ・アファメーション(ポジティブな自己暗示)をしても意味がないどころか、有害なケースもあるのです。
1度湧いてしまった不安や恐怖を無理にポジティブに捉えようとすると、脳が混乱してしまいます。
ネガティブな状態の人をポジティブにしようとすると自己矛盾が生じ、かえって自分のネガティブさが強調されてしまうのです。