私にとってのホームご飯は…

佐々木 レストランの外食とか、スパイスを買って新しい料理を覚えるとか、そういう非日常ももちろん楽しい。でも自炊をするということは、自分のホームを作るような行為でもある。家のご飯は可能な限り美味しいものを食べることではなく、帰ってくると安心できることのほうが大事な要素なのかも。

山口 私にとってのホームご飯はやっぱり豚汁。お金に余裕がある日だったら、小さくていいので刺身を1パック。あとはご飯と味噌汁があればもうハッピー。

『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法』(著:佐々木典士、山口祐加/ダイヤモンド社)

和田(編集者) ぼくは、しらすおろしで整いますね。とくに外食が続いたり、海外から帰ってくると食べたくなります。

佐々木 海外から帰ってくると、刺身を食べたくなるとか、味噌汁を飲みたくなるとか、ホーム感のある料理ってありますよね。ぼくは卵かけご飯と、香川出身なんでやっぱり出汁が効いたうどんですかね。

山口 いつでも作れる範囲で、そういう料理を持っているといいですよね。日々自炊していると、外食も安心してできます。外食ってしょっぱかったり、カロリー過多だったりして、不健康なこともある。でも、大体において質素な食生活をしていたら、たまにそういうものを食べても問題ないし、思いきり楽しめますからね。

佐々木 地元が落ち着くのは、他の地域と比べたときに条件や環境が優れているからではなく、過ごした時間が長いからですよね。料理の安心感もそれと同じで、美味しいから感じるのではなく、何度も何度も食べたという単なる事実から作られるのかもしれない。美味しさでより上へ上へと目指そうと思うとつらいけど、ただ作り続けて安心感を目指せばいいと思えば、肩の力を抜いて料理できそうです。