失敗料理必要論!
佐々木 ぼくはまずいものを作る、失敗することも料理上手への道だと痛感したところがあります。野菜炒めを作ろうと野菜を切っておいたことがあるんです。でもそれじゃいつもと同じだから、揚げ物に初挑戦しようと思ってかき揚げを作りました。レシピも見ずに、適当に卵と小麦粉をつけて揚げたら、なんともいえない、上海蟹ぐらいの巨大なふわふわのものができて(笑)。巨大すぎるし、サクサク感もなく、いろんなところに揚げ玉も飛んでいっている。完全に失敗でしたが、それでようやく「卵の量が多すぎ。なんならいらなかったかも」と思えたんです。
一緒に肉も揚げたんですけど、衣がはがれまくり。なぜそうなるかといえば、先に接着剤となる小麦粉をつけていなかったから。それが後でレシピを見たらわかった。でもただレシピをなぞっていたら、なぜ揚げ物するときには先に小麦粉をつけるのかとか、わからないことも多いと思うんですよ。失敗したら、その理由を考えられるけど、ただ成功したときには、なぜ成功したのか振り返る機会もないというか。
山口 失敗するのって本当に難しいですよね。答えが書かれているレシピがあるのに、なんでわざわざそれを通らずに失敗をしなければいけないのかという。料理を子どもに教えていて清々しいのは、彼らはやっぱり「できない」がデフォルトなんですよね。小学生だとそもそもレシピの文字が読めなかったりもしますし。最初はできないんだけど、「次は絶対にこういう風にしたい」という気持ちがあるから、軌道修正力がすごくあって、確実にうまくなっていくんですよね。
佐々木 英語でも、子どものほうが上達が早い。それは脳の柔軟性の問題を抜きにしても、失敗することを恥ずかしいと思わないし、外国の人の中に臆せず入っていけたりするし、そういう要素が大きいみたいです。