31年目のスタートとなるニューアルバム『Wake Up』も、生きづらいと感じている人の心に寄り添いつつ、「そうは言っても、悩んでいる暇はない。輝きを掴みに行こうぜ!」というメッセージが詰まっています。
「風と共に」「RESTART」「今を歌え」のほかに、CMに起用された「夢を追う旅人」とか、ドラマ『宮本から君へ』の主題歌「Easy Go」とか、聴いたことがあると言っていただける曲のオンパレード。すべての歌が自信作です!
全体を通して聴くと、人生を俯瞰した感じに仕上がってます。「Easy Go」には、「神様俺は今人生のどのあたり」というくだりも出てきますし。これ、52歳になった僕としては、本当に聞いてみたいと思っているんですよ。逆算人生じゃないけど、意気軒昂たる状態でいられる残り時間が、少なくなってきたのを感じるので。
それでいうと僕は最近、高価な服を買うようになりました。指輪や時計も身につけるようになって、周囲の人たちからは「今さら?」と笑われていますが……。ファンの中には、イメージと違うと訝しく思う人もいるかもしれませんが、僕は自分の心地よさを優先したい。『レ・ミゼラブル』を書いたフランスの大文豪ビクトル・ユゴーの言葉に「40歳は青年の老年期であり、50歳は老年の青春期である」というのがあって、本当にそうだなと。
もちろん誰かのために生きることも大切だけど、本気で自由に生きることができるのが大人の特権。一度きりの人生なんだから、自分の幸せを探求すべきだと思うし。ただし、その幸せは、苦しみや悲しみを知っている大人だからこそ享受できるものだというのが持論です。
今回のアルバムに収録されている12曲のうち、2曲は急性感音難聴で休んでいた混沌とした時期に作ったもの。10曲は30周年アニバーサリー期間の華やかな空気の中で生まれた歌で、全体にポジティブなんだけど、闇があるから光が見えるという部分を感じ取ってもらえたら嬉しいです。
いつか究極のラブソングを作りたい
僕は「俺」という一人称で作詞することも多いけど、その実、聴いてくれる人の性別は意識していません。生きることに不器用なのも孤独なのも男に限ったことではないし、大変なのはみんな同じですよね。女性もバリバリ働いているし、専業主婦だって、子育て中のお母さんだって日々、闘っている。
でも僕の場合、女性を主人公にして詞を書くと、女性に媚びを売っているような感じになってしまう。それが自分としては嫌なんです。僕らには「月夜の散歩」という恋の歌もありますが、本当の意味でのラブソングはまだ書けていない気がします。なにしろ僕は女心に疎いというか……。