『カップヌードル』が発売

『チキンラーメン』は『カップヌードル』開発へと繋がってゆく。

欧米進出を狙った安藤は、アメリカ視察の現場で『チキンラーメン』を紙コップに割り入れて湯を注ぎ、フォークで食べる光景を目撃する。昭和41年だった。これに着想しカップヌードルの開発に取りかかったのだ。

『俺たちの昭和後期』(著:北村明広/ワニブックス)

5年の月日が流れ、全く新しい商品の発売となった。

『カップヌードル』だ。

起点となった『チキンラーメン』は、敗戦の貧しさ、闇市の混乱から生まれた。発売当時の『チキンラーメン』のポジションは、苦難を乗り越えて生活向上を目指す色が滲む。カラフルとはいえない。

だが『カップヌードル』は全く異なる。カラフル志向に変わってゆく若者たちに、ぴたりとシンクロした。

一見すると無駄と言える“カップ”と“フォーク”が付属された。当時としては高額で強気の100円の値付けも含み、これを余裕と呼べばどうだ。