日本最後の“連帯責任世代”が圧倒的に支持した土曜日

ドリフターズの魅力こそはチームワークであり、昭和後期世代はここに惹きつけられた。少し以前のクレージーキャッツは天才集団であり、個々の力が前面に出ているグループだった。

ドリフターズも、「なんだバカヤロー」の天才、荒井注が在籍した時代は、“個”がチーム力よりやや前面に出ていると感じさせる。クレージーキャッツ的だった。

志村けんの加入当初は『8時だョ! 全員集合』の視聴率が低迷する。だがやがて、志村のギャグ力が増しながらチーム力も高めていった。その変化をブラウン管より心眼で受け取った。

『8時だョ! 全員集合』におけるドリフは、“個”プラス“個”が5つで引き出しあいながら、まるでコンマ何ミリの隙間もなくはまり、完璧なチームへと昇華した。5人という大人数でありながら、それぞれの押し引きの調和がこれほどまでに完璧なチームは、お笑いの世界で後にも先にもおるまい。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

この奇跡の過程を、小学低学年から高学年に成長していく中で自然と受け取ったのだ。

メンバー全員が体当たりで番組作りに邁進する姿に、誰1人欠けてはならない絆を知った。

現代のように個性こそが最重要だとの空気は、俺たちがガキの頃はまだ強くはなかった。力を合わせて結果を出すことの美徳を、家庭も学校も地域も熱心に説いた。日本最後の連帯責任世代であることも、ドリフの熱狂を支えたのだ。

強固な結束から生まれる笑いを、笑いとしてだけでなく受け取ったのはまさに心眼である。