メンバー5人は真剣そのものだった
コーラスを担当した女性コーラスグループ「コールアカシア」に所属していた、川崎由美子さんに話を聞いた。
昭和56年頃から最終回まで、毎週土曜日の12時に会場入りして、リハーサルから生放送の本番終了まで過ごした。
彼女は登場がない、冒頭コントのリハーサルをいつも見つめた。
メンバー5人は真剣そのもので、改良を加えながらリハを進行させる。大道具や美術スタッフ間でも怒号が飛ぶことがしばしばあったそうだ。裏方も含め、一人ひとりの番組に対する気持ちの強さを肌で感じたと言う。
リハーサル合間の休憩で見えてくるのは、メンバー総じての真面目さとやさしさ、周囲への気遣いの高さだった。本人いわく、バックコーラス風情も大切な共演者として扱ってもらえたそうだ。
本番直前に志村さんから、「緊張してない?」と、ほぐすように笑顔で声をかけてくれたと振り返る。
すごい番組ができるのはこういうことなのだと、毎週欠かさず過ごした昭和の現場を懐かしみながら話してくれた。
※本稿は、『俺たちの昭和後期』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
『俺たちの昭和後期』(著:北村明広/ワニブックス)
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