「自分を勘定に入れずに」
そしてもうひとつ、周囲から慕われる人というのは常にフェアです。自分にいい顔をしてくれるから取り立てようとか、自分に反論を述べてくるから遠ざけるとか、そういう不公平な考え方をまずしません。
宮沢賢治の『雨ニモマケズ』のなかに、「ジブンヲカンジョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ」(自分を勘定に入れずに、よく見聞きしわかり、そして忘れず)という一節があります。僕はこの言葉が大好きです。
「フェアでいる」というのは、この「自分を勘定に入れずに」を日頃から実践できるかどうかではないかと思います。
たとえばその場に9人いて、8人分のケーキがあったとしたら、自分を数に入れずに、さっと「はい、どうぞ」と残りの8人に分けてしまう。
たとえ自分の分がなくても平気でいられる、文句も言わない。そういうことを普通にできる人が、慕われるリーダーになれるということですね。
もちろん、見方によっては自分が損をしているとも言えますが、しかしそれと引き換えに、「この人は自分が損をしても周囲に尽くそうとしている」という信頼を得ることになる。損をしても、負担が増えても、結果としてフェアを心がけることによって、リーダーとしての自分もリターンが得られるわけです。
リーダーだけに過剰な負担がいくような状況は避けるべきですが、基本的な心構えとして「自分を勘定に入れずに」を心がけることでチームがうまく回っていくということを、ぜひ覚えておいてください。