野球もやりたかったけど、素質がないとわかっていた

藤井「相撲ではなく、野球の道に進む気持ちはなかったのですか?」

北の富士「野球もやりたかったけど、素質がないとわかっていたからね。足が遅かったんだよ。鈍臭いというのかな」

『大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』(著:藤井康生/発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)

藤井「えっ!? 本当ですか? 初めて聞きました」

北の富士「速そうに見えるでしょ?」

藤井「相当速そうですよ」

北の富士「走るのが好きじゃないし、ベースランニングも大嫌いだった」

藤井「それでも4番でエースだった?」

北の富士「エースなんてなったこともないよ。球は速いんだけど、ストライクが入らないんだから……」

藤井「でもいくつもの高校からスカウトがあったと聞きますよ?」

北の富士「ないないない。それも全部作り話だよ」

多分に謙遜は入っていると思いますが、これが事実ならば私の読んだ書物が眉唾になってしまいます。この先も、北の富士さん自身の語りで事実を並べてみます。