60年走ってこれたのは母のおかげ

4月まで行っていた坂本冬美さんとの「ベストカップルコンサート」でも、「母の顔」を歌っているのですが、舞台袖で冬美ちゃんが目をうるうるさせているんだよね。彼女も苦労してるから、自分のお母さんを思い出してグッとくるらしく…。お客様の中にも目頭を押さえている方がいらっしゃいます。僕の気持ちが少しでも伝わっているのかな。うれしいですね。

歌手という仕事は浮き沈みがある事を嫌というほどわかっていましたから、歌手としての地位を築いてからも、常にトップギアで走り続けました。底辺を経験しているからこそ、安穏と甘えることはできなかったんです。出遅れた反動もあったし、長い間売れなかったくやしさも含めて、よくがんばりましたよ。最初のころは、この幸せが幻なのではないかといつも落ち着かない気持ちでした。歌手は舞台では1人で主役。「五木ひろし」という看板を背負ったからには代役はききませんからね。

60年、一度も休まずに走ってくることができたのは、やはり母のおかげだと思っています。僕は小さい頃は体が弱かったらしいんです。生まれた直後、何かに感染して生死をさまよったとき、母は医者に連れていき、当時高価だったペニシリンを打ってもらったそうです。貧しいのに子どもの命を優先してくれたんですね。そのときに先生から「この子は長生きしますよ」と言われたと母から聞きました。僕は40歳で結婚し、子どもにも恵まれた。母はそれを見届けてくれました。きっと安心したと思います。

五木ひろしと兄、母の写真
五木さん5歳の頃。前列右が本人、中央が母、前列左が兄(写真提供◎五木プロモーション)

僕の仕事は歌うこと。そして、いい歌をこの世にたくさん残すこと。そのためには、いいと思った歌は歌い継いでいかないとね。まだまだ歌い続けますから、楽しみにしてください。

※次回は「五木ひろしが語る~~昭和歌謡史(14)」をお届けします。

【関連記事】
五木ひろし×高橋愛「同郷の愛ちゃんと〈恐竜体操〉で福井を盛り上げたい!」「今度は紫式部公園で披露したいですね!」
五木ひろし「小学校の時に父が蒸発。女手一つで4人を育てる母を楽にしたくて、歌手を目指し京都から東京へ」【2023編集部セレクション】
五木ひろし「藤山一郎、美空ひばり、三橋美智也、石原裕次郎…レジェンドたちの名曲を10日間で歌い継ぐ!歌手生活60年、新たな挑戦」

◾️母の顔/居酒屋「昭和」
発売日:2025年3月19日(水)
価格:1,500円(税込)
レーベル:‎ ファイブズエンタテインメント

デビュー60周年を迎えた五木ひろしの最新シングル

収録内容

1. 母の顔
作詞・作曲:五木ひろし /編曲:杉山ユカリ

2. 居酒屋「昭和」
作詞:中山正好 /補作詞:八代亜紀 /作曲:八代亜紀、大谷明裕 /編曲:杉山ユカリ

3. 母の顔(オリジナルカラオケ)

4. 居酒屋「昭和」(オリジナルカラオケ)