物事はすべてとらえ方次第

また、空を眺めていると、物事は多面的にとらえることができると気づかされます。雲は水蒸気がまとまった状態で水からできており、これが見えていない状態が晴天の空、見えている状態が曇天です。さらに天気が崩れると、そこから雨粒が落ちてきます。

つまり空というのは、バックは青い空で、その手前にいつも水蒸気などの水分がある状態。私たちが快晴だと思っている空も、曇天のグレーの空も、どちらも自分と空の間には水分が存在していて、それが見えているか、見えてないかだけの違いだということに気がつきます。

青空をありがたいと考えることもできますし、曇天のグレーの空であっても、その向こうには青い空が広がっているはずと考えることもできます。そして、このグレーの部分は、いつもの青い空には見えていなかった水分が見えているだけだ、というとらえ方もできると思います。

空一つを取ってみても、何通りもの考え方をすることができます。これは、私たちの社会でも同じことがいえるのではないでしょうか。

つまり、物事はすべてとらえ方次第、というわけです。見えている側面だけでなく、見えていない側面に思いを向けてみることで、物事を多面的にとらえることができる。そんなことに気づかされるのも、空を眺めるのが好きな理由かもしれません。

私は空を、毎日毎日、一日の中で少なくとも5分や10分、もしかしたら20分くらいは眺めています。みなさんも、空を眺めてみませんか。

調子がよいとき、幸せなときにはなんとも感じない空も、つらいとき、泣きたいときには心を温めてくれる、心を洗い流してくれる、そんな空だったりするものです。みなさんの好きな空はどんな空ですか。

※本稿は、『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(扶桑社)の一部を再編集したものです。


人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(著:高尾美穂/扶桑社)

NHK「あさイチ」などのTV出演でもおなじみ産婦人科医・高尾先生が贈る、あなたを前向きにする言葉集。

いつもお守りのように手元に置いておいて、悩んだとき迷ったときに開いてみてください。

きっと目の前がぱっと開けてくるはずです。