「老健」とは?
そもそも、「老健」とはどんな施設でしょうか。正式名称を「介護老人保健施設」といい、要介護1以上の人が入所でき、要支援の人でもショートステイやデイケアなど入所以外のサービスが利用できます。
多くの人のイメージでは「長期利用ができない、リハビリ目的の入所施設」だと思いますが、普通のリハビリ病院と大きく違うのは、ここが「地域の介護の拠点施設」だという点です。
厚労労働省の定義では、「介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」とされています。
つまり、決して入所だけが目的の施設ではなく、在宅生活が営めるように支援する施設というのがその本来の姿です。国は、前述の井上さんのケースのように、「必要な時に必要に応じて老健のサービスを使ってほしい」と考えており、「老健から在宅へ」を推進していますので、入所施設としてだけ考えれば、短期間しか入所できない、使えない施設と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際には入所を考えるずっと前から使うべき施設なのです。
けれども、多くの老人介護や老人ホームのハウツー本ではあまり「老健」は取り上げられていません。どの本にも載っていないので、老健という施設の存在を実はとてもお得で便利に使えるがゆえに、「誰かが秘密にしているのでは?」と思うほどです。
※本稿は、『最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!』(講談社)の一部を再編集したものです。
『最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!』(著:田口真子/講談社)
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