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連載「相撲こそわが人生~スー女の観戦記」でおなじみのライター・しろぼしマーサさんは、企業向けの業界新聞社で記者として38年間勤務しながら家族の看護・介護を務めてきました。その辛い時期、心の支えになったのが大相撲観戦だったと言います。家族を見送った今、70代一人暮らしの日々を綴ります

春の朝、赤い発疹を数個発見

70代に入る前から、冬になると乾燥により、腕や足の一部が赤くなり、痒みがでて、皮膚科の医師が処方してくれる2種類の塗り薬がかかせなくなった。「本格的な枯れたバアサンになってきた」と思いつつ、毎年、春になると治るので気楽に考えていた。

ところが4月下旬の朝に、これまでに見たことのない赤い膨らみの発疹が左の腕に七つ出現。次の日の朝は左の脇腹に八つ、その次の日の朝には、左肩に五つ。かなり痒い。かかりつけの皮膚科の医師は、ゴールデンウィークで休みだった。

連休明けに皮膚科に行くことにして、発疹の旬の状態で診断をしてもらいたいので、スマホで撮影。しかし、自分の脇腹や肩を撮影するのがうまくいかず、一人暮らしの悲哀を感じた。スマホではなく、手のひらサイズの小型デジタルカメラを使い、撮影に成功。カメラの画像は、自宅でA4サイズの用紙にプリントアウトした。

私は、人間関係のストレスで、痒みのある発疹が出る知人のことを思い出した。そのため、当初は「新築ハラスメント」によるストレスでの発疹だと思った。近隣では、日曜日以外は祝日でも、朝早くから暗くなっても、雨でも建築工事をして騒音がするのだ。

私の住む町は、畑を売ったり、亡くなった家族の家を相続した人が売却したりして、新築の家が建ち並ぶ。また、耐震工事の補助金を得てリフォームをしたり、建て替えて、いま風の建築の家ばかりだ。

私のように昭和まるだしの古い家に住んでいると、「近くで建築工事をしていたら、お宅の屋根が壊れているのが見えましたので、屋根に登らせてください」、「近所の奥さんにお聞きしましたが、住宅でお困りだそうですね。家の中を拝見しましょうか?」などの勧誘がくる。

家族がいて余裕のある友人は、「年をとって、お金もないなら新築は無理。ボロ家を売ってアパートか老人ホームに行ったら」と気楽に言う。私は複雑な事情によりここにいるのだが、その人たちは、その驚愕する四面楚歌事情を知らない。この状態を私は「新築ハラスメント」と名づけている。

ところが、皮膚科に行く前の5月2日に、私の発疹がストレスではなく、ダニのせいだと分かった。