以前は朝起きてから声帯を目覚めさせるまでに3時間は必要でした。でも、今はケアが必要と感じればそうするし、このままコンサートできちゃうなと思える日もある。自分でも何が起きているのかよくわからないのですが、こんな体の変化にワクワクしています。
歌うことが一生の課題なので、僕の夢はそこから広がっていったものばかり。たとえばコンサート会場にお客さんが2000人いたら、その全員が僕を共有してくださるわけです。でも僕から見たら、お客さんは2000人というかたまりではなく、一人一人。「あなた」に対して、どう届けるかが永遠の課題なのです。
それを解決する一案として、あるシステムを考えました。QRコードが印刷されたカードをライブ会場などで購入しスマホで読み取ると、終演後そのライブの映像や特典映像が視聴できるというもの。
しかもこのシステムは、専用アプリで読み取るだけなので、簡単で使いやすい。音楽を届けるシステムはこうでなくちゃいけないと思うんですよ。え、意外ですか? そういう技術的なことがもともと好きなんです。
僕がこのアプリを開発したのは10年も前になりますが、現在はDMV(深層振動)も取り入れたアプリに進化するなど、いろいろな形で発展させています。
55周年を記念して作った写真集『STAGE』にはDMVカードをつけて、写真とともに音楽やインタビュー映像を楽しんでいただけるようにしました。
これがビジネスだったら、一つのアイデアを横に展開して手堅く進めるのでしょうが、僕を突き動かしているのは「その先をもっと知りたい、見たい」という気持ち。これが僕の人生を回しているんだろうなあ。