内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人の死因では、老衰を除けば悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患が多くなっています。そうした状況のなか、高齢者の異状死の特徴を研究しているのが、法医学者の高木徹也さんです。今回は高木さんの著書『こんなことで、死にたくなかった: 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
トイレできばって死ぬ
「高齢者が、自宅のトイレから出たところの廊下に、下半身裸の状態で死んでいるのを家族が発見しました」
警察からこうした検案依頼の連絡を受けて、現場へ行く機会は少なくありません。
「うつ伏せの体勢で、手に携帯電話を握りしめていました」
といった現場の状況もよく報告されます。
またこのような状況のとき、便器内に用を足した痕跡がない、もしくは用を足していても少量だけ、という点で共通していることが多いです。