上の血圧と下の血圧の差が60以上だと危ない
逆に下の血圧は、血管が硬くなると低くなります。というのは、下の血圧の元となる力は、ふくらんだ血管が戻る力なので、小さくふくらめば、それだけ壁にかかる圧力も小さくなるからです。上の血圧と下の血圧の差(脈圧)が60mmHg以上あると、動脈硬化が進行している可能性が高いといわれています。
血圧が高くなる要因は、加齢や悪玉血液で血管が硬くなることだけではありません。血管の中を流れる血液の量が増えたり、血管が収縮して細くなったり、ほかの臓器に圧迫されたりすることでも、血圧が上がります。また、遺伝的に高血圧になりやすい体質もあります。
高血圧が血管にとって悪いのは、高血圧による血管の内膜へのダメージが、動脈硬化の第1段階だからです。そして、ダメージを受けている血管の中を悪玉血液が流れれば、動脈硬化が始まります。すでに始まっている人は進行が加速することになりますので、注意が必要です。
※本稿は、『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
血液が変われば、体は変わる!
本書では、血管をボロボロにする“悪玉血液”が引き起こすリスクを紹介しつつ、間違った健康知識を正し、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を防き、健康的に長生きできる“善玉血液”のつくり方を紹介します。
血液を整えて、いっしょに健康寿命を延ばしましょう!
出典=『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』(著:渡邊剛 監修:坂本昌也/あさ出版)
渡邊剛
ニューハート・ワタナベ国際病院総長、心臓血管外科医、医学博士
東京都出身。金沢大学医学部卒業。ドイツ・ハノーファー医科大学へ留学中、ドイツ心臓外科の父と呼ばれるボルスト教授に学び、2000件にわたる心臓手術を経験。32歳で日本人として最年少で心臓移植の執刀を担当。2000年に金沢大学外科学第一講座主任教授に就任。2005年に日本で初めて外科手術用ロボットのダヴィンチを使用した完全内視鏡下冠動脈バイパス手術を行う。以降、東京医科大学心臓外科教授(金沢大学と兼任)などを経て、2014年にニューハート・ワタナベ国際病院を開院。2019年から6年連続で年間心臓ロボット手術の執刀数世界一。日本ロボット外科学会理事長も務める。2010年から毎年ベストドクターズにも選出。『心を安定させる方法』(アスコム社)など著書多数。
坂本昌也
国際医療福祉大学 医学部教授、国際医療福祉大学三田病院 糖尿病・代謝・内分泌内科部長
東京都出身。東京慈恵会医科大学医学部卒。東京大学・千葉大学大学院時代より、糖尿病、心臓病、特に高血圧に関する基礎から臨床研究に渡るまで多くの研究論文を発表。日本糖尿病学会認定指導医・糖尿病専門医、日本内分泌学会認定指導医・内分泌代謝専門医、日本高血圧学会認定指導医・高血圧専門医、日本内科学会認定指導医・総合内科専門医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本医師会認定産業医、厚生労働省指定オンライン診療研修、臨床研究協議会プログラム責任者養成講習会を修了。現在も研究を続けながら若手医師や医学部生の指導も担当している。