つながり不足が、生活習慣病や心疾患、認知症などを引き起こす要因のひとつであることは、今や世界的な常識。その理由を専門家が解説します(構成:内山靖子)
人間は太古の昔から群れで生活してきた
私は公衆衛生学と老年学を専門とし、人々のつながりや地域の文化・風土が健康にどのように影響しているかを研究しています。その中でわかったのは、つながりは健康を左右する大きな要因になっているということ。
これは世界的に共通する事実で、たとえばオランダの研究者が「どのような生活スタイルが長寿に影響を及ぼしているか」という研究データをまとめたものが次ページの図1です。
ご覧のように、「社会とのつながりの種類や量が多い」ことは、「タバコを吸わない」「運動する」などの、一般的に《健康によい》とされている生活習慣よりも長生きに対する影響が大きいという結果が出ています。
人間が「社会的動物」と呼ばれるのは、太古の昔から群れを作り、他者とのかかわりを持ちながら生活をしてきたから。つまり、人はつながりの中で生きることが自然な状態なのです。