夫婦同士のトラブルについて悩まない日本人

次に、以上のような、一見、仲が良さそうに見える日本人夫婦の夫婦関係の内実を探るため、別の国際比較データを見てみよう。

内閣府では、少子化対策の政策立案に資するため、5年毎に、日本を含む数カ国を対象とした国際比較調査を実施している。

少子化の一因は結婚しない男女が増えているからである。そこで、「結婚生活について何が不安か」という問が設けられている。この設問で判明した不安を取り除けば結婚が増えて子どもも増えるだろうという意図である。

最新2020年の結果では、日本の場合、「結婚生活にかかるお金」への回答が42.3%と最も高く、各国比較でも他国を大きく上回る1位となっており、経済的な不安を取り除くことが特に日本では重要であることが判明している。

ここで注目したいのは、このことではなく、選択肢のうち「二人の間で起こる問題の解決」や「二人の相性」への不安が、日本の場合、かなり低く、他国と比較しても最低となっていた点である(図2参照)。少なくとも2010年の段階では、当人同士のトラブルについては他国と比べてかなり心配度が低かったのである。

(図2)<『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』より>

これは図1と同様に、夫婦仲が良い結果だったと見なすことも可能だが、単純にそうともいえない。