二人が恋に落ちた話

1949(昭和24)年に二人は入籍した。

この時、奥さんがやなせ先生の実のお母さんと会ったかどうかはよく分からない。ただ、ごめんのお母さん(やなせ先生の伯母)とは会っていろいろ話していたようだった。

先生の自伝などでは、高知新聞時代に奥さんが広告費を集金する際にハンドバッグを投げた話や恋敵の出現など書かれているが、私には二人が恋に落ちた話はしてくれなかった。恋愛ごとにあまり興味がないことを見透かされて、話さなかったのかもしれない。

※本稿は、『やなせたかし先生のしっぽ: やなせ夫妻のとっておき話』(小学館)の一部を再編集したものです。


やなせたかし先生のしっぽ: やなせ夫妻のとっておき話』(著:越尾正子/小学館)

2025年春NHK朝ドラ「あんぱん」のモデルとなったやなせ夫妻に20年寄り添った秘書がはじめて語る、おふたりの暮らし、生活、仕事に思い出…。

マイペースでのんびりと、いつも人の一番うしろにいた著者が、先生の残したしっぽのような思い出とことばをたどるエッセイ集。