勝也さんは東京に生まれ、豊洲小学校、深川第五中学校、墨田川高校、早稲田大学というコースをたどったが、ご多分に漏れず映画少年だった。
――中学生の頃、学校サボって池袋で、制服のまま友だちとブリジット・バルドーの水着姿の看板をボヤーッと見てたら、警官に肩叩かれて交番に連れてかれた。でも僕たち二人は、映画のエの字も知らない警官に、その素晴らしさを滔々と演説して。いやになったのか、もういいよ、って。(笑)
墨田川高校は昔の府立七中で、校歌の作詞が幸田露伴というのがすごいでしょう。その頃、法政大学の土曜講座に通って、昔の名画をよく観てました。そこで僕が圧倒的に好きになったのがマーロン・ブランドとかジェラール・フィリップとかローレンス・オリヴィエとか。
映画ですごいと思った人が、全員舞台出身だとわかった時に、ああそうなのか、って納得したんですよ。日本映画にしても、杉村さんにしろ中村伸郎さんにしろ宮口精二さんにしろ、みんな魅力的でしたから。
第1の転機は、舞台俳優の素晴らしさに気づいたことと言えるかもしれませんね。