知ってほしいなら必ず話す
以前、ホスピスで患者さんのケアをなさっている方が、死を目前にした女性の患者さんに「実は自分の子どもは夫との子ではないのです」と告白されたとおっしゃっていました。そのことは夫には告げていない秘密だとも。まったくの他人にだから話せたのかもしれませんが、このように知ってほしい思いがあれば、人は誰かに言わずにはいられないものなのだと思います。逆に言えば、こっそり日記に書いている思いは、誰にも知られたくないことだと言えるのではないでしょうか。
この親子は「不仲だった」とありますが、相手が亡くなった今となってはノーサイドです。スピリチュアルな視点で言えば、あの世に行くと誰もが自分の人生を振り返り、客観視します。そこでお互いに誤解や行き違いがあったことが不仲の原因だった、と理解するのです。いつか親子があの世で再会したとき、「本当はこう思っていたの」「そうだったのね、ごめんなさい」と、誤解が解ける機会を得るでしょう。ですから、そんなに急いで母の気持ちを知る必要はありません。
よく「この秘密は棺桶の中まで持っていく」などと言いますが、文字通り日記はそのまま棺桶に入れてあげるのがベストです。すでに火葬が終わってから見つけたのならば、自らの好奇心に負ける前にさっさと燃やすなりして処分してしまいましょう。
もしも今、日記を書いているというあなた。死後に読まれたくないと思うのならば、自分できちんと始末しておくか、読まずに処分するようエンディングノートに一文を書くなどしておくことをおすすめします。