友だちづくり

自己肯定感を高めるのと同じくらい重視しているのは、友だちづくりです。「友だちをつくる」ことを堂々と目標に掲げている学校はほとんどありません。しかしデータを取ってみると、友だちがいるかいないかで、卒業率が大きく変わるのです。友だちがいないと中退する確率が上がる。

それだけでなく、勉強を続けられるかどうかも友だちの有無に大きく影響されます。友だちの有無と勉強時間の相関関係は非常に強い。学力、登校率、卒業率、満足度、あらゆる指標において、友だちがいるのといないのとでは、大きな差が生まれる。だから、N高は友だちづくりを明確な目標にしています。

『教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由』(著:川上量生/中央公論新社)

そのために、通信制で義務付けられているスクーリングも、年1回おこなう通信制高校が多いところを、N高は2回に増やしています。他の通信制高校だとスクーリングが年に1回だけで、しかも日数が少なくて楽だということを宣伝している学校がたくさんあります。スクーリングの負担を嫌がる生徒はたくさんいるのです。

それにもかかわらず、僕らがスクーリングの回数を増やすのは、友だちをつくる機会を増やすことが、生徒のためには本当に大事だと確信しているからです。

また、スクーリングの時期も、友だちのできやすさで決めています。そのために余計なお金がかかっても、友だちのできやすさを優先しています。

スクーリングでは、さまざまなゲームを通じて生徒同士が仲良くなることを促しています。生徒自身も「なぜN高はこんなに友だちをつくらせようとするのか」と感じるほどです。露骨と言えば露骨ですが、そのくらい友だちづくりの推進に力を入れているのです。

「ゲームをするくらい大したことない」と思う人もいるかもしれませんが、力の入れ方が違います。N高では、毎回のスクーリングを通じて、友だちづくりにはなにが一番効果的かを実験してきました。どうやったら友だちができるかというデータも分析して蓄積しています。