(写真提供:Photo AC)
「教育は善をなすことが、成功につながる幸せなビジネス」と語るのは、通信制高校・N高等学校の設立メンバーである株式会社ドワンゴ顧問の川上量生さん。N高校は、従来の通信制高校のイメージを覆し、在籍生徒数日本一の通信制高校として海外、東大、芸術系大学など多彩な進学実績を誇っています。そこで今回は、2025年4月に開学したZEN大学の立ち上げにも携わった川上さんの著書『教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由』より一部を抜粋・再編集してお届けします。

自己肯定感

N高を運営するにあたって、僕らがとりわけ重視していることが2つあります。生徒が「自己肯定感を高める」ことと「友だちをつくる」ことです。順番に説明しましょう。

生徒が自己肯定感を高めるには、どうすればいいでしょうか。それは生徒が「自分はN高に通っている」と胸を張って言えるような環境をつくることです。

そのために、最先端のオンライン教育を提供するのは当然のことです。たとえばN高では、VR(バーチャル・リアリティ)を用いて理科の実験に参加できるし、歴史遺産を訪問することもできる。バーチャル環境にありながら「体験」をともなった勉強をすることができる。

N高の教育コンテンツは、公式サイトやさまざまなメディアで紹介されているので、詳細は説明しませんが、普通の高校に通う生徒がうらやましがるような要素を増やすように、立ち上げ当初から設計していました。これは単なる綺麗事ではなく、「自分は、他の学校の生徒がうらやましがるような最先端の教育を受けている」と思えれば、おのずと自己肯定感は高まるものです。

プロモーションもまた、自己肯定感を高めるきっかけになります。これまでさまざまなプロモーションに取り組んできましたが、N高がテレビで取り上げられても、資料請求は増えるものの、入学者数の直接的な増加にはあまりつながりません。だから僕たちも、宣伝の目的は生徒の獲得ではなく、生徒のプライドを高めることだと割り切っています。