支配欲求が強く、理路整然としている人への対処法

ここで紹介した夫や姑のようなタイプに対処するのは実に難しい。いずれも支配欲求が強く、理路整然としているうえ、家族の心身の不調の原因を自身が作っている自覚がないからだ。

しかも、自分は正しいという確信が過去の成功体験によって裏打ちされている。だから、こういう人の考えを改めさせようとしても、説得しようとしても、徒労に終わる可能性が高い。

私の外来を受診した女性は二人とも専業主婦で、子どももまだ小さいので、夫や姑の支配から逃れられるように経済的自立を目指すという選択肢は考えにくい。

そのため、当分は睡眠導入剤や抗不安薬を服用して症状を和らげながら乗り切るしかないが、所詮対症療法にすぎない。

ある程度は薬で抑えられても、胸中に葛藤や反感を秘めている以上、ときには怒りや敵意も込み上げてくるはずで、それが症状として表れるだろう。

とすれば、別の価値観や考え方もあることを、それとなく口に出してみるくらいしかできないのではないか。

「人生設計をきちんと立てていても、その通りにできるとは限らない」「学歴ですべて決まるわけではない」などとぽつりとつぶやくのも一つの手だろう。