強い支配欲求の持ち主から逃れるためには
もっとも、理路整然マウントを取るタイプは自分の価値観や考え方が絶対に正しいと思い込んでおり、それ以外は認めようとしないので、猛然と反論するに違いない。それでも、何も言い返せずに黙っているよりは、別の見方もできることを伝えるほうがいい。
たとえ伝えても、向こうが理路整然マウントを取り続けることは十分考えられる。経済力も、過去の成功体験もある独善的な人間がそう簡単に変わるとは到底思えない。
となれば、専業主婦の女性は無力感に打ちひしがれることになる。それに耐えられなければ、子どもがある程度成長したら、自分が働いて稼ぐことも考えるべきだろう。
強い支配欲求の持ち主から逃れるためには、経済力をつけることが不可欠だ。
そのうえで、もうこれ以上我慢できないと思ったら、子どもを連れて家を出ることも選択肢の一つに入れておいてはどうか。
はたから見れば夢の庭付き一戸建てなのだろうが、それを購入できるだけの経済力を持つ「成功者」が理路整然とまくし立てる環境は、心身に悪影響を及ぼすこともある。実際、ここで紹介した女性は二人とも心身の不調に悩まされ、私の外来を受診した。
狭い賃貸アパートでも、理路整然マウントを取る人間がいない環境のほうが幸福に暮らせるかもしれない。だから、庭付き一戸建てでの生活に固執してはいけない。
※本稿は『マウントを取らずにはいられない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
『マウントを取らずにはいられない人』(著:片田珠美/PHP研究所)
「部下が何を言っても否定する上司」「学歴を自慢し仕事をえり好みする人」「理路整然と自分の意見をまくし立てる人」
マウントを取る人の心理を丁寧に解説した上で、現状を変えるためのヒント、さらに、「自分がマウントを取る人にならないための考え方」を示す。「マウント」をめぐる煩わしさが解放される一冊。