何を言っても否定する、学歴を自慢する、理路整然と自分の意見をまくし立てる…なぜ人はマウントを取りたくなるのでしょうか。精神科医・片田珠美さんは「不満や怒り、羨望や嫉妬などのネガティブな感情が往々にして潜んでいる」と指摘します。マウントを取る心理について、著書『マウントを取らずにはいられない人』より一部抜粋して紹介します。
マウントとは何か
マウントとは、「マウンティング(mounting)」の略語であり、社会的順位において自分のほうが他人よりも上位であることを確認する行為を指す。
われわれは他人に対して自分がどの位置にいるのかを無意識のうちに測定しており、折に触れて自身の優位性を誇示する。
その根底には、他人を自分より下位に置きたいという欲望が潜んでいる。
この欲望は程度の差はあれ誰の胸中にも潜んでいて、それが強い人ほどマウントを取る。
当然、マウントには、相手を自分の思い通りに支配しようとしたり、相手の価値を否定して見下したりすることがつきものだ。
支配されるにせよ見下されるにせよ、やられた側は屈辱を味わうだろう。さらに、何かを強要されるような実害もこうむりかねない。