(写真提供:Photo AC)
「自分のことが好きになれない」「自分なんてダメな人間だ」といった悩みを抱えていませんか。精神科医の泉谷閑示先生は、こうした自己否定の感情について「原因は幼少期の育ち方にある」と指摘しています。今回は、泉谷先生が心のもやもやを解消するためのヒントをまとめた著書『「自分が嫌い」という病』より一部引用、再編集してお届けします。

自信が持てない

自己不信の状態からは、当然のことながら「自信が持てない」という悩みが生じてきます。

たとえ何かを頑張って人から認められることがあったとしても、この状態にある人は、それが決して自信につながったりはしません。本人の内部に揺るぎない自己不信があるので、「まだまだ、こんな程度で満足していてはいけない」と、自分に終わりなき努力を強いる頭の声に支配されているからです

それを見て周囲は、「謙虚さがあって素晴らしい」「あくなき向上心の持ち主だ」などと見当はずれの賞賛をしたりしますが、本人はただひたすら、走れば走るほど遠ざかってしまうゴールラインを追いかけているに過ぎないのです。

また、こんな自分では人に受け入れてもらえないのではないかと思って、なかなか人の輪に入っていきづらかったり、自分の感覚や意見にも自信が持てなかったり、自分がどう思われているかばかりが気になって、常に相手の顔色をうかがってしまったりします。そして周りと自分を比べては、劣等感にさいなまれるのです。

このように窮屈な状態では、なかなか自分の人生を生きている実感も得られにくく、その程度がさらに深刻だと、人や社会との接触自体を避けがちにもなってしまいます。