「自分のことが好きになれない」「自分なんてダメな人間だ」といった悩みを抱えていませんか。精神科医の泉谷閑示先生は、こうした自己否定の感情について「原因は幼少期の育ち方にある」と指摘しています。今回は、泉谷先生が心のもやもやを解消するためのヒントをまとめた著書『「自分が嫌い」という病』より一部引用、再編集してお届けします。
片思いのジレンマ〜自分を好いてくれる人なんて嫌い
自分を愛せない状態にある人は、「自分を好いてくれるような人は、好きになれない」という片思いのジレンマに陥っていることも少なくありません。ある人に憧れて接近しても、その人が振り向いてくれた途端に気持ちが冷めてしまう、というパターンをとる場合もあります。これは「自分を愛せない」ために生ずる典型的な現象です。
次の図1の右側の楕円は、自分が自分を嫌っている状態を示しています。ところが、そんな自分を左の人は好ましく思っています。すると、「こんなダメな私を好いてくるような人は、趣味が悪い」と思ってしまって、冷めてしまうのです。

<『「自分が嫌い」という病』より>
また図2はこの逆で、自分を嫌っている人を好ましく思ってしまうことを表しています。「こんな自分には興味を示さず邪険に扱ってくるこの人は、趣味がいい」と思って、かえって好意を持つわけです。

<『「自分が嫌い」という病』より>
このように、自分が自分を嫌ってしまっていることにより片思いしか生じないような構造ができてしまうので、両思いの恋愛関係は成就しない悪循環に陥ってしまうのです。