最終的に決めた施設は……

どこも一長一短で、これという決め手がない。思いあぐねた末にFacebookに現状を書き込み、介護経験者の皆さんにアドバイスを求めたのだ。

すると、複数の人から「スタッフはいずれ入れ替わる。施設と運営体制で決めろ」とのアドバイスがきた。

なるほど、その通りだと膝を打った。

そこで「施設と運営体制」を判断基準に熟慮を重ね、最終的には大浴場のある施設Cに決めた。結局、そこが父の終の棲家となったわけだが、私としては正しい選択だったと思っている。

施設Cは運営母体が大手ホテルを経営する企業だったために、介護から家族対応まで一切の業務が完全にマニュアル化、システム化されていた。結果として、スタッフの能力による作業ムラが最低限に抑えられていたのだ。

21世紀になった今でも、マニュアル接客やマニュアル業務というのは一部に大変評判が悪い。曰く、マニュアル通りでは心が通っていないそうである。

だが、あえて言おう。

大切なのは心ではない。マニュアルである、と。