警察庁の発表によると、令和6年に自宅で死亡した一人暮らしの人は7万6020人でした。孤独死する人が年々増加傾向にあるなか、文筆家の門賀美央子さんは、「ひとりっ子親なし配偶者なし子なし」の人が「いかに部屋で腐らず、綺麗に人生を閉じるか」について指南しています。今回は、門賀さんの著書『死に方がわからない』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
尊厳が守られるかわからない
看護や介護は一通りではない。家族、その道のプロ、ボランティアと立場は色々あれど、できることはそれぞれ異なる。今の私の境遇だと、身の回りの世話は100パーセント家族以外の人に頼ることになる。そうなった時、最低限の看護または介護は受けることができるだろうけど、QOLは保証されない。
そもそも「人に面倒を看てもらう」状態は、看る方も看られる方も心身ともに大きな負担が伴う。
すべてを家族だけで完結しようとすると、家族の誰か(多くは家事を担わされる女性)にしわ寄せが来る。そのストレスは甚大で、最悪の場合、殺人や無理心中など悲劇的な破局を迎える結果になるのは数多くの事例を見ても明らかだ。
だからといって、介護のプロフェッショナルにすべてを任せればいいかというと、そうでもない。プロといえども100パーセント「家族のように」世話をするのは無理。“仕事”であるがゆえにケア内容を絞らなければならない局面も出てくる。
立場が違う複数の目と手があって初めて、被介護者にとって快適かつ持続可能な環境が成立するのだ。