（2ページ目）斉藤ナミ「愛知から東京にさえ行けば私も何者かになれる！でも、いつまでたっても何者にもなれず、1年で愛知に逃げ帰った」嫉妬マニア　惹きつけられて振り回されて…苦しいけれど、愛すべきもの｜人間関係

「代官山に住む美容師」の彼氏

名古屋まで20分なんて便利そうに聞こえるけれど、中心地以外は田んぼや畑だらけ、週末は町内会のドブ掃除ばかり、それも町内放送でお知らせがくるような、しっかりとした田舎だ。ひたすら「何者かになりたい。認められたい」と願いながら育った私は、子どもの頃からテレビや雑誌で見るキラキラした東京にひたすら胸をときめかせていた。

こんな田舎で暮らすなんて不利だ。ここで生きていてはせっかくの人生がもったいない。私も、たくさんのモノやコト、面白い人や仕事があり、無限の可能性に触れられる東京に行って、何者かになりたい！

高校を中退した私は、いつかは東京で……と思いながら、地元の美容院で働きながら通信制の専門学校で勉強し美容師免許をとった。

東京には美容業界のコンテストやヘアショーなどで訪れることがあり、20歳の頃にユウイチという東京の美容師の恋人ができた。親の名義で代官山のアパートで１人暮らしをしていた彼には、もちろん他にもいいところもあったはずだが「代官山に住む美容師」という２つの情報だけで、かなりカッコよく見えた。

ユウイチは、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』の窪塚洋介演じる「タカシ」に憧れていて、タカシみたいな喋り方をしていた。憧れてるからって喋り方まで真似するのはキモいと思ったけれど、実際に池袋の西口公園に連れていってもらえた時は感動した。