常に試行錯誤、心折れずに続けることが大事
息子にしても娘にしても音楽家になることを勧めたことはないんです。反対に「そんな心持ちでは音楽家にはなれない!」と言ったことは何度もあります。それで子どもたちが「やめます」と音を上げることはなかった。
息子と娘は、大学生にしては、年相応の楽しみに費やす時間は少ないかもしれません。ただ音楽の道を志す以上、いろいろなことを諦めてストイックに取り組まないといけない時期があります。
子どもの教育は、口で言って伝わることもありますが、自分の背中を見せる方が確かだと実感してきました。僕は、声楽家として毎日体づくりのために水泳やジョギングを欠かしていません。子どもたちもいつの間にやら加わって、今は親子3人で毎日外に走りに行っています。
僕は愛媛県西条市の出身で、大学に入学すると同時に上京しました。僕が暮らしたのは風呂・トイレが共用のボロアパート。当時でも家賃27,000円は破格の安さでした。雨漏りする家に暮らしながら、仕送りを節約、さらにバイトをしてイタリア留学の資金を貯めました。当時は寝る時間もありませんでしたが、後から振り返れば苦労した経験は僕の財産です。
息子や娘は音楽家の二世として生まれましたが、決して裕福慣れしてほしくないと思っています。先日、僕と共に息子はプロのピアニストとして、とある音楽祭に呼ばれ、2人分のグリーン車のチケットをご用意いただきました。その時は、僕の方から息子にはまだ早いとお断りしました(笑)。若い頃は買ってでも苦労をしろと僕は思っています。息子たちは、勉強時間も練習時間も長いので、アルバイトをする暇もありませんが、僕が渡すお小遣いは最低限のもの。自分で稼ぐようになるまでは、普段使うお金を節約して遊ぶお金を捻出して欲しいのです。
厳しく接してきましたが、我ながら良い子たちに育っています。そんなこともあって、社会貢献のつもりで、僕のしてきた子育てについて包み隠さず本に書くことにしました。まだオファーはありませんが、2冊目の構想も練っています。子育ては楽しくてやりがいがありすぎて、ページがいくらあっても足りない。
音楽家の道にも、子育てにも、これという1つの正解はありません。1つのことをやり続けていると何か弊害が出てきて、また違ったことを試す必要が出てくる。常に試行錯誤しながら、心折れずに続けることが大事なのかもしれません。子どもたちも、これからいろんなことを経験して悪戦苦闘しようとも、そのすべてを音楽に繋いでいくことで人の心を動かせる人間になってくれたらと願っています。

『子育てこそ最高の生きがい 私の考える教育』(著:秋川雅史/中村堂)
テノール歌手 秋川雅史、初の書籍発行!!
完全書き下ろし!!
子育て、教育を熱く語ります
●本書「はじめに」から
「仕事と子育ての両立」という言葉をよく耳にします。しかし、私はこの言葉に強い違和感を覚えます。それは、子育て以上にやりがいのある仕事はないと思っているからです。私は、子育てこそ最高の生きがいだと思っています。(中略)私は、いつか教育書を書くことを大きな夢としていました。本書を書くにあたり、これまで両親から受けた教育、そして自分が子どもたちと過ごしてきた日々を振り返りました。その思い出は、私にとってかけがえのない財産です。そして、子どもに愛を持って接した全ての出来事が「教育」だったのだと改めて感じました。
●本文から
私は現在、二人の愛する子の子育て真っ最中です。こう書くと、「秋川さんのお子さんはまだ小さいのですね」と想像する方もいるでしょう。しかし、実際には長男が大学三年生、長女が大学一年生になっており、すでに成人しています。それでも私はあえて「自分は子育て中だ」と書きました。(中略)それは、子育てとは生涯をかけて行うものだと思っているからです。また、子どもを育てる過程で、自分自身も育てられているのかもしれません。
『秋川雅史コンサート 東京2025』
9月26日(金) 13:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
チケット料金(全席指定・税込)
一般チケット7500円 プレミアムチケット
(アフターイベント・お見送り付き)9800円
お問い合わせ:BSフジイベントお問い合わせ event@bsfuji.co.jp
公演HP:https://www.bsfuji.tv/masafumi_akikawa_tokyo/