カタバミの仲間たち

カタバミは、地面を這うように広がって、繁殖します。植物の葉っぱが上に茂っていると、この植物は、その隙間の光の当たる場所へ、横へ横へと光を求めて伸び、葉っぱを展開します。ふつうには、茎が立ち上がってくることはありません。

ところが、近年、茎が立ち上がってくるカタバミがあります。他の植物が育っているような場所では、先端が、光の当たる空間をめざして背丈を伸ばすので、よく目立ちます。先端の葉っぱが光の当たるところまで伸びると、背丈を伸ばすのをやめ、そこでいくつもの葉っぱを広げます。上に茂っている植物を追い越して、どんどん背丈を伸ばしたりはしません。無駄なことはしないのです。

地面を這うように広がって繁殖するという、私たちの身近に育っていたカタバミからは想像できない、思いがけない姿です。それもそのはずで、茎が立ち上がって伸びてくるのは、「オッタチカタバミ」という、外国から来た帰化種なのです。

カタバミの仲間に、ムラサキカタバミがあります。この植物も、カタバミ科に属し、南アメリカが原産地とされる帰化植物です。市街地の人家近くの路傍や石垣の間などに生育します。カタバミより一回り大きい3枚のハート形の小葉が特徴的です。地下に球根のような鱗茎(りんけい)が増えて、繁殖します。

ムラサキカタバミ(写真:『雑草散策』より)

関西地方では、5月下旬から7月上旬くらいまで、花茎が葉っぱより高くに伸び出してきて、その先端部分に、雑草とは思えぬ可憐な紅紫色の花を数個つけます。この花の色が、「ムラサキカタバミ」とよばれるゆえんです。花茎が次々と伸び出してくるので、1株に多くの花が咲きます。

鉢植えにして栽培すると、緑の葉っぱが次々と展開して、鉢からあふれるように広がり、やがて花が咲きはじめます。花は次々と毎日咲くので、りっぱな鉢植えの園芸植物となります。実際、属名の「オキザリス(Oxalis)」の名が使われて、品種改良された球根が園芸店で市販されています。