産後の私の心のたすけは、趣味の庭仕事。花たちは、手をかければかけるほど元気をくれたものだ。しかし、泊まらないとはいえしょっちゅう実家に立ち寄る義姉が、私好みでない花を庭に植えることがあった。嫌だと言っても勝手に植えていく。
そろそろ私色の庭にしたい……そう考え、義姉の植えた花の苗に、合成洗剤をかける方法を思いつく。花に罪はないのに、まったく姑息なやり方だ。
世界一の悪党になったような後ろめたさで、次々と苗を弱らせていく。3~4種類枯れたところで、「私の持ってくる花は、この家の土に馴染まないみたいね」と諦めてくれたので、ほっとした。
気がつけば、嫁いで44年。たくましさだけは身についた。強かった義母も、老いには勝てず、10年前に亡くなった。義母が亡くなった後の夫は荒れ、私への暴言も増えるばかり。
私が過労で倒れたこともあるし、一時は夫と別居もしたが、今はまた同じ家に住んでいる。彼とは、最後まで他人の空気感が拭えないままに、老いていくのだと思う。
しかし子どもは全員立派に育ち、巣立っていった。近年は孫を連れて、家に遊びに来てくれるのが嬉しい。
私が今心に決めているのは、大姑のような心のあたたかい老人になるということだ。まだ68歳、過去の自分の姑息な行為を反省しつつ、ゆっくりと成長していきたい。