(イラスト:たかまつかなえ)
総務省「国勢調査」(2020年)によると、日本の三世代同居率は4.2%。都道府県別にみると、一番同居率の高い山形県が約14%と1割を超えるのに対し、最下位の東京都は2%未満となっている。事情があって、一緒に住んでみたけれど。実際は悩ましいことばかり……。佐藤歌織さん(仮名・福岡県・無職・55歳)は、父親の死後、姉一家と同居することになったそうで――。

父が倒れ、一切の家事を担うことに

お祝い花が溢れるわが家の玄関に、新しいスーツに身を包んだ姉が立つ。「いってらっしゃい、気をつけて」。送り出す私は、洗いざらしのエプロン姿。ずいぶんな違いだなと思う。

今春、ある組織の最高責任者となった姉。本来であれば誇らしく思うべきところだが、私の胸は、複雑な思いで満ちていた。

私は現在、姉・姉の夫・甥と姪からなる姉一家、そして母と暮らしている。二世帯同居であり、三世代同居でもある。その明るさでわが家を長年支え、天真爛漫という言葉を体現したような母も、5年前に認知症を発症した。姉一家との生活によるストレスが多かったせいではないか、と思わずにいられない。

思えば、現在に至るまで、母も私も苦労のし通しだった。母は同居の祖母と大叔母の介護をしながら、姉と私を育てた。そして私が22歳で就職した矢先に、父が倒れた。病名はなかなかわからず、心臓弁膜症という診断がおりた時には、もう手遅れだったのかもしれない。自宅から離れた病院に入院が決まり、母も付き添うことになった。