(写真提供:Photo AC)
数ある犯罪のなかでも、とりわけ性犯罪の加害者家族は世間から白眼視されやすい傾向にあります。そんななか、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳先生は、自身が所属する依存症回復施設・榎本クリニックで、これまで1000人を超える性犯罪の加害者家族と向き合い続けてきました。今回は、斉藤先生の著書『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』から一部を抜粋し、ご紹介します。

「このまま刑務所にいてほしい」家族の本音

裁判で有罪になると、加害者とされる人は実刑か執行猶予付きの判決(もしくは略式命令=罰金刑)を受けます。

どちらの場合でも、家族は複雑な感情を抱えながら新しい生活を始めることになります。

判決を受け、受刑することになった場合、家族は「一日も早く出所してきてほしい」という思いと、「(再び罪を犯す心配がないから)このまま刑務所にいてほしい」という、相反する感情を抱えることが少なくありません。

このアンビバレントな感情は、加害者家族特有の心理状態といえます。