公平性だけでなく、感情面にも配慮する
遺言書の効力を最大限に発揮させるためには、具体的かつ明確な内容で作成することが重要です。
抽象的な表現や曖昧な指示は、相続人間の解釈の違いを生み、かえって争いの種になることがあります。そのため、財産で揉めないための基本的な分け方をお伝えしましょう。
相続では、法的な公平性だけでなく、感情面での納得感も重要です。いくら法的に正しい分割をしても、相続人が「不公平だ」と感じれば、家族間の亀裂につながりかねません。
まず大切なのは、極端な不平等を避けることです。
遺留分を大幅に下回るような分配や、特定の相続人を完全に排除するような分配は、その相続人に強い不満を抱かせる原因となります。もちろん、それぞれの事情によりどうしてもある程度の不平等が避けられない場合もありますが、そのときは理由を明らかにし、他の相続人にも理解を求める工夫が必要です。
このとき遺言書に財産分けの理由を記載することが重要です。なぜその分け方をしたのか、どのような思いがあるのかを伝えることで、相続人の理解と納得を得やすくなります。
例えば、「長男には家業を継いでもらうため事業用資産を相続させる」「次男には生前に住宅資金を援助したのでその分を考慮する」といった説明です。
円満な相続のためには、生前から家族と財産や相続について話し合う機会を持つことをお勧めします。突然の遺言内容で驚かせてしまうのは、トラブルの元です。あらかじめ自分の考えを伝えておくことで、相続人は心の準備ができます。もちろん、すべてを開示する必要はありませんが、基本的な方針を共有しておけば、将来のトラブルを減らせる可能性があります。