あいまいな記載はかえって争いの種に
「平等に分けてください」という記載も実はよくありません。これは一見公平に思えますが、何をもって平等とするかは人によって解釈が異なります。
現金や預金は均等に分けられても、不動産や株式、思い出の品などは価値の評価が難しく、分割方法を巡って意見が対立する可能性があります。
他にも、「仲良く相続してください」という曖昧な記載や、「一番貢献してくれた人に多く分けてください」という主観に基づく記載なども、トラブルを招きかねません。
「**銀行△△支店の普通預金口座は長男Aに相続させる」「××市△△町**番地の自宅土地・建物は妻Bに相続させる」と、誰にどの財産を相続させるかを記載しましょう。財産を特定するときは、銀行口座なら口座番号まで、不動産なら所在地と地番まで書くとより確実です。
相続人以外の人(内縁の妻、子どもの配偶者、お世話になった人など)に財産を渡したい場合は、「遺贈する。」と書きます。そのとき、受取人の名前、住所、生年月日などの情報も正確に記し、他の人と間違われないようにしましょう。
また、遺言書には遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための手続きを行う人のことで、相続人の一人が務めることもあれば、弁護士などの専門家が務めることもあります。遺言執行者に相続財産の管理処分権が専属するため強い権限がありますので、特に相続人同士の利害が対立しそうな場合や、相続人以外に財産を渡す場合は、遺言執行者を指定しておくと、遺言が実現しやすくなります。